そっと鍵をかけて。

ーー通話が切れたスマホをしばし見つめ、バックの中に乱雑に突っ込んだ。


バイバイ。


お気に入りの華奢なハイヒール。

毒々しいほど赤いルージュをのっけた唇。


あなたを持って行くことはできないけれど、性格の悪い仕返しくらいはさせてもらおう。


『これ、お前のイメージにはこれがぴったりだよ』


あなたが選んだムスクをもう一度身に纏う。







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