そっと鍵をかけて。
キッチンに素足のまま踏み入れて、ポットに水をそそぐ。
お湯を沸かす間に、マグにティーバッグをいれて、テレビをつける。
騒々しい音を聞きながら、お湯を注いだマグをもってソファにゆっくりと沈み込む。
ちょっと予算オーバーだったけれど、一度座って夢中になったこれは
一人でだらだらするにはうってつけだと思う。
無理やり作ったような過度なさわやかさと、
男受けばっちりの服装に身を包んだ可愛らしいアナウンサー達を見るともなしに見ながら
気が付けば考えなくていいことばかりを考えていた。
「あと、1週間」
この、少しけだるくも甘い日々に残された時間。
ーーもう、返さなければならない。
居心地のいい腕の中も、甘やかな唇も。
彼の、本当の居場所へ。
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