名前を教えてあげる。


順の心を凍りつかせてしまったのは、自分自身だ。


どんなにあがいても無駄だった。時が流れるままに身を任せるしかないことが、世の中にあると分かったのは、19歳になったばかりの春。


「……順は、元気だった?」


美緒は静かに目を瞑り、みどりの言葉を待った。
< 421 / 459 >

この作品をシェア

pagetop