グッバイ・メロディー
⋆°。♬
エリートな人というのは、見た目からもう“エリート感”が漂っているんだな。
知っているようで知らなかったその事実を、行き交う学生たちのおかげでいま目の当たりにしている。
大きなガラス窓に一文字ずつデカデカと書かれている『T大合格実績No.1!』にはとても太刀打ちできない気がして、何度も見上げてはすぐに目を逸らした。
あまいたまごやきが冒険を始めたばかりの駆け出し勇者なら、あれは最後のダンジョンで待ち受けているラスボスで間違いない。
ぜんぜん、ゲームには詳しくないけど。
トシくんが通っているという駅前の予備校で出待ちしているわたしたちは、どうひいき目に見てもいい意味ではなく、とても目立っていた。
「あー、早く出てこねえかな。つーか洸介、トシが何時に終わるか知ってんの?」
「知らない」
「知らねえのかよ! 無計画にもホドがあんだろーよー」
こうちゃんとアキくんはまるで何事もなかったかのよう。
すっかり元通りになっているふたりにほっとしていたら、隣でヒロくんも同じような表情を浮かべていて、なんだかあったかい気持ちになった。
エリートな人というのは、見た目からもう“エリート感”が漂っているんだな。
知っているようで知らなかったその事実を、行き交う学生たちのおかげでいま目の当たりにしている。
大きなガラス窓に一文字ずつデカデカと書かれている『T大合格実績No.1!』にはとても太刀打ちできない気がして、何度も見上げてはすぐに目を逸らした。
あまいたまごやきが冒険を始めたばかりの駆け出し勇者なら、あれは最後のダンジョンで待ち受けているラスボスで間違いない。
ぜんぜん、ゲームには詳しくないけど。
トシくんが通っているという駅前の予備校で出待ちしているわたしたちは、どうひいき目に見てもいい意味ではなく、とても目立っていた。
「あー、早く出てこねえかな。つーか洸介、トシが何時に終わるか知ってんの?」
「知らない」
「知らねえのかよ! 無計画にもホドがあんだろーよー」
こうちゃんとアキくんはまるで何事もなかったかのよう。
すっかり元通りになっているふたりにほっとしていたら、隣でヒロくんも同じような表情を浮かべていて、なんだかあったかい気持ちになった。