グッバイ・メロディー
⋆°。♬


もとよりそこまで器用なほうでもないので、毎年11月の頭にある学園祭の準備に追われていたら、アキくんとみちるちゃんのことを考えている余裕などなくなってしまった。


ううん、

本当は、ただ考えないようにしていただけかも。


だって、いくら考えたところでわたしにできることなんてなにもない。

こうちゃんの言ったように、わたしはふたりの恋愛にはあまりにも『関係ない』部外者で。


ふたりにはふたりにしかわからない事情があるはずなのに、外野からヤジを飛ばすのは、いくらなんでも野暮すぎると思ったんだ。



「そういや、彰人が相当遊んでるって聞いたけど」


はなちゃんが不機嫌なのを隠そうともせずに言った。

家庭科部(はなちゃんってほとんど幽霊部員だけど)で茶屋をやるらしい美少女は、若草色の着物のおかげで大和撫子感がマシマシなのに、それが台無しなくらいコワイ顔をしている。

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