グッバイ・メロディー


ぎゅっと手を握り返すと、つないでいないほうの手で、こうちゃんはとても優しくわたしの髪を撫でた。


「季沙。怖くない?」

「き、緊張するし、恥ずかしいけど……こうちゃんだもん。怖くは、ないよ」


いきなり、肩にこてんとふわふわの頭が落ちてきた。

どうしたのかと不思議に思っていると、すぐ左から長いため息が聞こえた。


「なんか俺が緊張してきたかも」


思わず笑ってしまう。

こうちゃんがそんなことを言うから、わたしのほうは緊張が少し解けたよ。


「季沙のやなことはしたくないけど……ごめん、たぶんやめてやれないと思う」


なんですと。


「そ……そんなこと言われるとまたドキドキしちゃうじゃんか……!」

「うん。俺も」


お互いの心臓の音を聴きあって、本当だねって、笑った。


こうちゃんといっしょにいると、子どもみたいに無邪気なままでいられる。

つきあいたての恋人どうしみたいに、いつだってときめくことができる。

家族みたいに、ほっこり、安心する。


こうちゃんって、不思議だね。

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