グッバイ・メロディー


「季沙」


ほらね、やっぱり。


「ごめん」


抱きしめようとしてきた両腕から強引に逃げて、威嚇するみたいに距離を取って向かいあった。


「やだ」

「季沙」


せめて言い訳くらいしてくれないものかな。


忙しくてそれどころじゃなかった、いまは目の前のことで手いっぱいだった、

そんなふうに言ってくれたら、わたしだって、そうだよね、しょうがないよね、と言えたかもしれないのに。


ただゴメンだけを言われたら、こっちは「いいよ」か「いやだ」で答えなきゃいけなくなってしまう。


その2択なら、考えなくても答えは決まっている。


「ぜったいやだ。こうちゃんなんかきらい」

「……うん、ごめん」

「ずっときらい」

「うん」


あんまりしゅんとした顔をされると、なんだかわたしのほうが悪いことをしているみたい。


そろそろこうちゃんのほうも応戦してくれないと困るよ。

止まらなくなってしまう。
感情のコントロールがきかなくなる。

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