グッバイ・メロディー


アキくん、トシくん、ヒロくんにプラス脇坂さんと、5人で話しているその顔には、ちょっと疲れた色が浮かんでいた。


気づいたときにはすでに両足は駆けだしていた。


お疲れさまを言いたかった。

ほかにも、言いたいことがたくさんあった。


なりふりかまってなんかいられない。
誰の目も気にならない。


無防備な両腕にがばりと飛びこむと、支える準備をしていなかった彼は2、3歩うしろによろけつつ、最後にはしっかりとわたしを受け止めてくれた。


「……季沙?」


とても信じられないという言い方。


大好きな声がわたしの名前を呼ぶために大気を揺らした瞬間、またどうにも涙腺がゆるんだのには、自分でもさすがに驚いた。

あれだけ泣いたのにまだ涙が出るなんてなにかの病気?


濡れた頬になにかがそっと触れる。

大きな手のひらだった。
指先が、少しかたい。

だけどこの世に存在しているなによりも、いちばん、とてもやさしい。


その上に、自分の手を重ねて、ぎゅっと握った。

< 464 / 484 >

この作品をシェア

pagetop