あなたの恋を描かせて
……え?な、に……
何が、起こってるの?
思考が上手く回らない。
体は雨に打たれて冷たいのに。
掴まれている右手が、添えられている頭が、触れあっている唇は、すごく熱くて……
わたし、キス、されて……?
「んっ……!!」
自覚したとたん、反射的にぐっと城越くんの胸を押した。
けど、まるで離れることは許さない、というようにガッチリと頭は固定されている。
「ん……はっ……」
何度も何度も繰り返される優しいキスに、思考を働かせようとするわたしの気力までも溶かされていく。
「しろ、こしく……」
緊張がギリギリにまで達して、情けないけど声が震えてしまう。
それでも、とぼやける視界の中、ただ城越くんだけを見つめる。
「ど、して……」
かろうじて頭の片隅に残っていた疑問。
どうして?
なんでこんなことをするの?
あなたの、その気持ちが知りたい……
でも、今のわたしにはそんなに細かな感情を言葉にできなくて。
わたしの疑問を塗り潰すように、再び城越くんはが唇を重ねてきた。
「んんっ……ふっ、ぅ………」
口の中に入ってきたものにビクッと体が震えた。
さっきと違う、強引なキス。
わたしの全部が、城越くんに奪われているような、支配されているような、そんなキス。
強引なのに、無理矢理のはずなのに。
全くと言っていいぐらい、抵抗しようとする気持ちが出てこない。
それは、わたしが城越くんのことを好きだから……?
自分でも気づかないうちに、本当はこうなることを期待していたのかもしれない。