シオン【完結】
「もう少しで日付変わるね」
「久美の誕生日だな」
「ね」
俺のスウェットを着た久美。
隣に並んでソファに座っている。
壁にかけられている時計は現在23時59分。
後、一分で日付が変わる。
久美の誕生日プレゼントは手袋だった。
俺の好きなブランドのモノだ。
オシャレでセンスがあって、一目見て気に入った。
明日から使おうっと。
後数秒で日付が変わる頃。
「久美、愛してるよ」
そう言って、俺は目を閉じて久美にキスをした。
ゆっくりと目を開けると、久美の頬には涙が伝っていた。
「どした…?」
「………」
それから、次々に溢れる涙。
久美は必死に笑顔を向けようとしている。