私がいた場所。
「大丈夫か!?椿!!」
「原田…さん、?」
「っ間に合って、よかった…」
上から聞こえてきた聞きなれた声に見上げると原田さんがいて私を斬ろうとしていた男は原田さんの槍で心臓を貫かれていた。
原田さんはあらい息を整えながら敵を見据えると私に耳打ちをした。
「そこに倒れている隊士を外に出してやってくれ。それからここは俺が来たから大丈夫だ、表に回って救護を頼む」
「はい!」
大きく返事をすると素早く浅葱色の羽織を見つけ外に引っ張り出した。一応呼吸と心臓の動きを確認したが、その人はもう死んでいた。
やっと感情が追い付いてきたようで恐怖からか悲しさからかあふれそうになった涙を内頬を強くかむことで抑え込んだ。噛んだところから血が出てくる。
これが血の味。ここにたくさん流れる血の味。
足元の大きな血溜まりに口内の血を吐き捨てると表へ走った。