私がいた場所。
「あの…視界が真っ暗になったんですが…」
「あはは!誰でしょう?」
「沖田さんしかいないです」
ばれちゃった、と私の目元から手を離すとにやにやと笑って後ろを指差した。
「でも分かんないよ?もしかしたら土方さんだったかも…」
「ねぇよっ!!!」
沖田さんの指差す方には土方さんがいて久しぶりのあの綺麗な顔に見とれてしまう。ぼーっと見ていると視線が絡んで私はあわてて口を開いた。
「土方さん、報告を…」
「ああ…。いやそれより先に言うことがあるだろ?」
「…?」
言われていることがわからなくて首をかしげる。みんなを見渡すと私の言葉を待っているかのように笑っていた。
「君はここに…帰って、きたんだよ」
沖田さんの言葉にはっとして涙腺がゆるんだ。嗚咽を漏らさないように気を付けたけど熱い滴が頬を伝ったのがわかった。
「ただいまっ…」
それ以上は言えなくてぼやける視界のなかみんなのおかえり、が聴こえて私もへらっと笑った。



< 86 / 137 >

この作品をシェア

pagetop