不機嫌な彼のカミナリ注意報
「そして……こちらは風見太雅くん。マーケティング部の期待の星だ。わからないことがあったらなんでも彼に聞いてくれたらいい」

 この人が風見さんだったのかと、今度は私が驚いて目を見開いた。
 いきなり会ってしまったからガードを固める余裕などなく、緊張して思わず息を飲む。

 そういわれてみると、長身で無造作な黒髪……身体的特徴は事前情報と合致する。

 じっと見入っていたら、風見さんはそのまま何事もなかったようにマーケティング部のほうへ歩みを進め、さっさとオフィスに入って行ってしまった。

 ……いきなり、無視ですか。

 悪いイメージは持っちゃいけないと思うけど、噂どおりの無愛想ぶりに圧倒された。


 先に真那たちにいろいろと聞いておいてよかったかもしれない。
 なにも知らなかったら、彼の態度に仰天していただろう。

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