不機嫌な彼のカミナリ注意報
「おい、大脇! お前ちょっとここを代われ」

 一瞬放心していた私の隣に突然現れたのは、風見さんだった。
 私が握っていた金属製のヘラを奪い取り、大脇さんに叩きつけるように手渡す。

「え?! お、俺が焼くんですか?」

「お前は運転しなくていいからって、うまそうにビール飲んで酔ってるんだろ? これくらいやれよ!」

 そういえば、クーラーボックスにノンアルコールビールがあるのを見かけた。
 きっと運転をする人たちは、そちらを飲んでいるのだろう。
 でも大脇さんは運転しないから、本物のビールを飲んで楽しんでいたみたい。
 風見さんはそのことを指摘したのだ。

「緒川、お前はちょっとこっちに来い」

「へ?」

「素っとん狂な声出しやがって。いいから来い!」

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