不機嫌な彼のカミナリ注意報
「気分が悪くないなら……これを食え」

 風見さんからおもむろに差し出されたのは、紙皿にてんこ盛りに盛られたバーベキューのお肉や野菜だった。
 焼けたばかりのお肉からいい匂いが漂っている。
 これはさっき風見さんがコンロのまで行って取ってきたものだ。

「え……食べていいんですか?」

「は?! お前は今日なにをしに来たんだ?」

「なにって……」

「焼きそばを焼きに来たわけじゃないだろう?」

 そう言われてみるとそうだ。
 バーベキューを楽しみに来たのに、始まってから私はお肉を一切れも食べていないことに今気づいた。

< 163 / 303 >

この作品をシェア

pagetop