不機嫌な彼のカミナリ注意報
「わー、雨だー!」

 女性たちが日よけテントの下へ走って雨宿りをする。
 男性たちはコンロが雨に濡れないように、上からシートのようなものをかぶせていた。

 雨が勢いを増す。
 ザーっとバケツをひっくり返したみたいな降り方になってきた。

「緒川! なにやってんだ!!」

 大きな雨音がする中でも、私の耳には風見さんの声は届く。

「クーラーボックスも移動させなきゃと思って……」

「そんなのいいから来い!」

 手首をつかまれ、そのまま小走りにテントの下まで連れて来られた。

「クーラーボックスなんて、蓋を閉めれば中は濡れないだろう」

「そ……そうですね……」

「お前はそういうところが無茶苦茶だな」

 少しでも片付けなきゃと思っただけなのに……



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