不機嫌な彼のカミナリ注意報
 あぁ……でも、ちょっと無茶はしたかな。
 髪から雨の雫がしたたり落ちて、首に張り付いて気持ちが悪い。
 しかも、日が落ちてきたせいもあって、少し肌寒い。

 こういうところは私は運が悪いのか、要領が悪いのか。
 雨のせいで、気分まで落ちる。

「……ほら」

 風見さんの声がして、頭の上からなにか降ってきた。
 それは紺色のスポーツタオルだった。

「ボサっとせずに早く拭けよ」

 世話が焼けるとでも言いたげに、無愛想な言葉を言われても、私はもう気づいてしまった。

 風見さんが、こんなにもやさしい人なのだと。


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