不機嫌な彼のカミナリ注意報
 だけど最悪なことにこのふたりと私は帰りの車中、一緒の空間にいなければならない。
 なぜか針を刺されたように胸がチクチクと痛んだ。

 私だけ電車で帰ろうかな……
 それも不自然すぎるだろうか。

「緒川、早く乗れ!」

 頭の中でいろいろ考えていると、風見さんと瀬戸さんが先に車のほうへ歩き出していた。
 仕方なく私もその後を追う。

 ……電車で帰ろうという作戦は実行できなかった。

「緒川さん、前に乗る?」

 瀬戸さんがやさしく助手席を勧めてくれた。
 だけど、「はい」なんて素直にうなずけるわけがない。


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