不機嫌な彼のカミナリ注意報
「ちょっと……寒いです」

「なんで早く言わないんだよ!」

 風見さんは車内の設定温度を上げてくれたあと、車を降りてトランクを開けた。
 戻ってきた風見さんの手にはグレーのパーカーがあって、私の体にバサっと勢いよくかぶせてきた。

「あの……いいですよ、大丈夫です」

「よくないだろ。雨で濡れたし、気温が下がったから寒いに決まってる。とりあえず家に着くまでそれはかぶってろよ」

「……ありがとうございます」

 温かい厚手のパーカーだ。
 まるで風見さん自身に包まれてるように感じた。

 風見さんは今きっと……
 私の体だけではなく、そのやさしさで心まで温かくしてくれた。


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