不機嫌な彼のカミナリ注意報
「おい、大丈夫か?」

 さっきから自分の吐く息が相当熱い。
 渋滞に巻き込まれている間にどんどん体調が悪化している。

「平気です」

 精一杯強がって笑ってみたものの、風見さんの口が不機嫌そうにムニュっと歪む。

 それはなにか気に入らないときの表情だけれど、私は口を歪めたその不機嫌な顔がけっこう好きだ。
 風見さんらしいなと思うから。

「全然平気じゃないだろう。でも……悪い。もっと早く家に帰してやりたいが、この渋滞じゃ……」

「気に……しないでください。私……今、すっごく……幸せなんです」

「は? お前、だいぶヤバいな」

 発熱は苦しいし嫌だけど、私は言葉にした通り、今すごく幸せな気分なのだ。


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