不機嫌な彼のカミナリ注意報
 そんなの、付き合っていたときは一度も見たことがないのに……
 どうして今頃になってそんな人の夢を見たのか、自分でもわからない。

 モヤがかかったみたいに視界はぼんやりとしていたけれど、あの声と雰囲気はまさしく斗夜だ。
 しかも、夢の中でしっかりと会話までしていた気がする。
 ……不思議な夢だった。

「玄関のチャイムを何度も押したが応答がなかったから……」

「……すみません。全然気がつきませんでした」

「昨日、鍵はポストに入れとくと言ったのに、実は……うっかり持って帰ってしまった。だから返しに来たんだ。でもお前が出て来なかったから、悪いと思ったが勝手に入った」

 会社では見たことがない、風見さんのバツの悪そうな顔がそこにあった。

……この人、こんな顔もするんだ。

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