不機嫌な彼のカミナリ注意報
 話していたら、思い出した。
 あの時の、リビングのソファーに座る斗夜の姿を。
 斗夜が困ったように笑って、私にそう言った言葉を。

「“みんな”って言葉はおかしいじゃないですか。どう考えても私とその女性だけじゃなくて、複数人いるような言い方だから。……結局、いたんですよ、もっといっぱい女の人が」

 実際、斗夜はたくさんの女性と交際していた。
 私と付き合う前から、そうだったらしい。ただ私が知らなかっただけなのだ。

「山のようにセフレがいたのか」

「セフレなのか、付き合ってたのか……詳しく知りません。それ以上聞いていられるほど私はデキた人間じゃないですから」

「………」

「だけど……彼にとって私は特別な人間じゃなかった」

 それだけは、今でもはっきりわかる ―――

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