不機嫌な彼のカミナリ注意報
 物覚えはいいほうではない。
 それを自分でわかっているから、失敗しないように細かいことまですべて、逐一自分のデスクの大きなメモに書いている。

 それは、頼まれる仕事の量が多かった総務の時代からやってきていたことだ。
 ……だからすっかり忘れてしまうことなんてなかったのに。

 風見さんは仕事に厳しい。
 こんな失敗続きな私を叱責するのは当たり前だ。

 だけど今まで私は、あんなふうに風見さんに怒鳴られて怒られたことはなかった。

 他の人が怒られているのは何度か見かけたことはあるけれど、いざ自分が体験すると、怖いよりもショックのほうが大きい。


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