不機嫌な彼のカミナリ注意報
「緒川……」

 歩いてきた風見さんに追い詰められるように、私は資料棚と風見さんの間に挟まれる形になった。
 距離がとても近くてドキドキする。

 私の頬に風見さんが大きな手をピタリと当てた。
 私はわけがわからずに固まってしまい、顔を熱くさせることしかできない。

 そしてその手が、今度は額に移動していく。

 これはどういうことだろう?
 緊張とドキドキで、心臓が爆発しそうだ。

「熱はないようだが……顔が熱いな」

「……へ?……」

「お前、体調が悪いなら悪いと言えよ」


 体調は悪くないです。
 おかしいのは、病気だからではないのですよ。

 ――― しいて言うなら、恋の病ですが。


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