不機嫌な彼のカミナリ注意報
「『私はあなたなんて全くタイプじゃありません。王子様みたいな人がタイプなんで、間違っても自惚れないでください!』
って、言ってやればよかったのに!」

 ……そんなにはっきりと、言えるわけないでしょ。
 風見さんは年上の先輩で、チームリーダーで上司なのだから。

「ですよね。寧々さんには王子様がいますもんね~」

「えへへ」

 也実ちゃんにそう言われ、私はスマホを操作してデレデレとその人物を眺めた。

「カッコイイですよね~、彼」

「でしょ? 私はこの角度からの彼の顔が一番好きなの」

 ニヤニヤしながらスマホを也実ちゃんに見せると、笑顔でウンウンとうなずいてくれた。

< 41 / 303 >

この作品をシェア

pagetop