不機嫌な彼のカミナリ注意報
 マーケティング部へ戻ると、かなり人がまばらな状態になっていた。
 それもそのはず、時計を見ると定時をとっくに過ぎている。

 椅子に座り、自分のパソコンと格闘しようとした時だった ―――

「どこに行ってたんだ?」

 サボリなんて許さない。まるでそう言われているような冷たい声が、斜め前から降って来る。

 声の方向に顔を向けると、不機嫌そうに私を見つめる風見さんと目が合った。

 しまった、と思わず顔をしかめた。
 風見さんがデスクにいるかどうか確認せずに、完全に気を抜いていた。

「あ、あの……これは……専務がですね……」

「専務?」

「はい。急遽大人数のお客様を引き連れてこられまして……」


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