不機嫌な彼のカミナリ注意報
 なぜそれを風見さんが知っているのか不思議で仕方ない。
 誰が受けた電話かなんてわかるはずがないのに。

「他のヤツが帰り際に言ってたのを偶然聞いたんだよ。お前が清瀬から押し付けられて、かわいそうだとかなんとかって……」

「じっ……」

「……じ?」

 “地獄耳”ですね、とうっかり言いそうになった。口を滑らせなくてよかった。

 さすがにみんな、風見さんに聞こえるようには言わないだろう。
 だとしたら、小声でコソコソと喋っていたのがたまたま聞こえたということだ。

 ……それって要するに、地獄耳だと思う。


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