不機嫌な彼のカミナリ注意報
「寧々、ウソでしょ? 見たことない? 受付でも有名だよ。朝、こっちがおはようございますって挨拶しても、首をちょこんと動かして合図する程度で、まともに挨拶を返してもらったことがないの」

「え?!」

「すっごい無愛想な人」

 美人の舞花が挨拶をしても、そんな態度を取るなんて、なかなかの曲者だ。

「その人、……口が無いんじゃないの?」

「いや、普通にあるから」

「美人の舞花が挨拶してもダメなら、私なんて素で無視されそうだよね」

 自虐的に笑って言えば、真那が溜め息をついてムスっと口をへの字に曲げた。
 これは機嫌が悪いときの顔だ。


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