美狐はベッドの上で愛をささやく

誰かに依存するのはけっして良くないこと。


それなのに……わたしは紅さんに甘えてしまう。


どうにかしようと思うのに、どうにもできない自分がじれったい。


そう思う反面、甘えられるひとが出来て、嬉しいと思ってしまう。





そんな、わたしにとってはとても有り得ない日常。

でも、みんなにとっては平凡なよくある日常がそうやって続いていた。

だから紅さんと出会う前の、あの苦しくて悲しい日々は何かの間違いじゃないかって、思う時が多々出てきた。



その日も、やっぱり寝付けなくて、薔薇の匂いがする布団にくるまって、紅さんがお仕事から戻って来る深夜2時頃まで、わたしはベッドの上で何度も寝返りを打っていた。



そんな中、ノック音が響く。


ドアを叩くその音は、どこか力強い感じがしたからきっと、真赭さんだ。




わたしはベッドから抜け出してドアを開けた。



そこにはわたしが思ったとおり、黒髪のツインテールと大きな目が印象的な、真赭さんが立っていた。


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