美狐はベッドの上で愛をささやく

だったら、もうあげる。


だから、苦しまなくていいんだよ……。


紅さんの言葉をさえぎって、わたしは言葉をはじき出した。


「紗良? 君は一体何を……?」


「お嬢ちゃん、邪魔だな。ソイツもろとも消えちまえ!! 魂だけは拾ってやる」




……もう、いいよ。

いいんだ。


わたしはどうせいつかは死ぬ。


だったら、せめて、好きな人の一部になれればそれでいい。


きっと、紅さんなら、わたしの魂をいい方向に使ってくれるってそう思うから……。





にっこり。




わたしは、紅さんに微笑んだ。


「紗良……!!」



わたしが紅さんに魂を奪われようと覚悟を決めたら――。


だけど……。



紅さんはわたしの覚悟を拒絶した。



「えっ?」


紅さんが伸ばした腕で、わたしの体は後ろに倒れた。


突き飛ばされたわたしの目の端で、紅さんが木にもたれて上を向き、目を閉じている姿が見えた。




まるで……死を覚悟したかのような……。


< 234 / 396 >

この作品をシェア

pagetop