美狐はベッドの上で愛をささやく
自分で考えて、思わず笑ってしまう。
そんなわたしを、紅さんは見ていた。
「紗良? 君は悪い人だね。
わたしを差し置いて、いったい何を考えているのかな?」
それは、わたしを責めるような口調。
なんだか嫉妬しているような……そんな感じ。
わたしはただ、紅さんのことを考えていただけなのに、紅さんはそれさえも嫉妬する。
それだけわたしを想ってくれているっていうことなのかな?
だったら、すごく嬉しい。
わたしは恥ずかしい気持ちも忘れ、両手を紅さんの首に巻きつけた。
紅さんの胸に、頬を寄せる。
聞こえてくるのは、トクン、トクンと鳴る鼓動。
これは紅さんのものだろうか。
それともわたしのものなのかな……。
目をつむって、心地良い心臓の音をうっとりと聞いていると、すぐ頭上から息を吸い込む音がした。
「……ここは……?」