美狐はベッドの上で愛をささやく

「あっ、あの!!」

真赭さんと生成さんがこの部屋からいなくなっちゃう。

そう思って、紅さんに告げようとした直後、わたしの口は塞がれてしまった。



「んっ!!」

昨日、たくさんキスをしたのに、またこうやって、唇を重ね合わせる。




「わたしは今から生成と真赭を連れて、少し仕事先の仕入れに行ってくるよ。


ひとりになってしまうけれど、何かあれば強く念じなさい。すぐ駆けつけるからね。


それから、お腹がすいたら朝食を冷蔵庫に入れておいたから温めて食べるといい。


おやすみ、愛おしい紗良」



わたしの手から湯のみを外してベッドに寝かせると、紅さんはそっとの耳にそっと囁(ササヤ)きかけた。



わたしは何も言えないまま、目を閉ざすと、両瞼(リョウマブタ)に柔らかい紅さんの唇が乗った。




心地良い眠りに誘われ、わたしはまた意識を手放す。

口元に、微笑みを浮かべながら……。


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