美狐はベッドの上で愛をささやく

自分のことしか考えていなくて……。




やっぱり、わたしは生きる価値もない化物なんだ。



こんなわたしは、紅さんを好きでいてもいけない。




心なんて持っちゃいけない。




……わたしには、居場所なんていうものは、あってはいけないんだ。







「…………っふ、あっ。

うああああああああああああっ!!」





わたしは走って走って……。

走り続けて、人気のない山の奥深くまでたどり着くと、とうとう身を崩し、大声で泣いた。





――絶望。


もう、わたしの中には、それしかなかった。


< 318 / 396 >

この作品をシェア

pagetop