美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚☆。・*いたみ。*




 . ゜
。 。
 。





「落ち着いた?」

「はい。すみません」



ここは、倉橋(クラハシ)さんの家。

紅さんのバーから車で約1時間離れた、山の中。



大きい一軒家は、縁側をなぞるように和室が3部屋ある。


この家は、父と過ごした家と少し雰囲気が似ている。


懐かしい。

落ち着いた、あたたかな部屋だ。



わたしが紅さんを傷つけてから倉橋さんと再会した後、倉橋さんの車に乗せてもらって、10畳の客室に通された。



倉橋さんから、どうしてあの場所にいたのかと尋ねられた。

わたしが醜いのは隠せることじゃない。

そう思ったから、嗚咽混じりの聞き取りにくい声で、女の人を殺そうとしたことや紅さんを傷つけ、瀕死へと追い込んだことをすべて話した。


4人用のテーブルに座わって、真正面にある、半開きになった障子から空を見上げれば、そこには輝く星々があった。


空は、さっきまでの雨が嘘のように晴れ渡っている。


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