美狐はベッドの上で愛をささやく

紅さんへの愛おしさが増してしまう。


別れを決意したのに、離れたくないって、そう思ってしまう。



また、わたしの気持ちがグラついてしまう。



「……っつ」

くれないさん。





……わたしは……。



「頼む!! 杏子を、助けてくれ。このままにしておいて欲しいんだ!!」


紅さんに傾きかけるわたしの気持ちは、倉橋さんの言葉によって思いとどまる。




倉橋さんの気持ちは良くわかる。


だからこそ、それがどういう事を示すのかも、この先の未来を手に取るように理解できる。




――それはつまり、

倉橋さんの彼女さん――杏子さんが生き還った時はすでに、倉橋さんがいなくなっていることを意味する。





そんなの……。

杏子さんを取るか、倉橋さんを取るかなんて、わたしには決断できない。



わたしは、どうしたらいいの?



深い闇の中で、また、重たい沈黙が生まれた。



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