美狐はベッドの上で愛をささやく

*・゚☆。・*好きだから……。*




 . ゜
。 。
 。





――――良。




――紗良(サラ)。



「……紗良」


だれ?



わたしの名前を呼ぶのは……。



「紗良……」


その声は、とても苦しそうで悲しい声だった。


苦しまないで。


悲しまないで。




お願いだから……。



わたしのために、そんな声を出さないで……。



貴方には、ずっと微笑んでいてほしいの。


とても柔らかな笑顔でいてほしいんだ。



だって……わたしは…………。



「紗良!!」




「……ん、くれない……さん……」



名前を呼ぶ声に反応して目を開ければ、そこには心配そうに眉根を寄せた紅さんが、まつ毛が触れるか触れないかの距離で覗いていた。




……え?


あれ?

「わたし……」


どうしたんだっけ……?






パチパチと瞬(マバタ)きすると、目に溢(アフ)れていた涙がこぼれ落ちた。


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