美狐はベッドの上で愛をささやく

これまで、父が亡くなってからというもの、布団に入ることを自分に許さなかった……。


ここだと――あの人の隣だと、わたしは霊体に悩まされずにすむかもしれない。



わたしは思わぬ休息を手に入れた安心感から、心地良い眠気に誘われていった。



呼吸をするたびに香ってくる、部屋中に舞い散る薔薇の甘い匂いを嗅ぎながら……。


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