【完】風中で灯す火
「そう見える?」
「……ううん、気のせい…」
優しさに甘えて、甘えて。言葉で、身体で、触れていないと壊れてしまいそうで。
―――ううん、もうそれはきっと、直ぐそこまで来ているの。
それでももう少し、少しだけでいい、この灯火を胸に抱いていたい。足掻けば足掻くほど、風はより強くなるのに。
何も返せなくて、ごめんなさい。伝えたいのに、大切な想いほど声にできない。
「……ねぇ」
「うん」
「私の手、ちゃんとあったかい?」
とうに意味がないと分かり切っているものでも、私にはどこまでも大切だった。必死にそれを重ねて行かないと、吹かれて飛んで行ってしまいそうだった。
「………勿論」
穏やかな風がその灯火を消し去る時、
その瞳から、涙も一滴、おちた
「おやすみ、―――」
「……ううん、気のせい…」
優しさに甘えて、甘えて。言葉で、身体で、触れていないと壊れてしまいそうで。
―――ううん、もうそれはきっと、直ぐそこまで来ているの。
それでももう少し、少しだけでいい、この灯火を胸に抱いていたい。足掻けば足掻くほど、風はより強くなるのに。
何も返せなくて、ごめんなさい。伝えたいのに、大切な想いほど声にできない。
「……ねぇ」
「うん」
「私の手、ちゃんとあったかい?」
とうに意味がないと分かり切っているものでも、私にはどこまでも大切だった。必死にそれを重ねて行かないと、吹かれて飛んで行ってしまいそうだった。
「………勿論」
穏やかな風がその灯火を消し去る時、
その瞳から、涙も一滴、おちた
「おやすみ、―――」

