AM1:30
涙を止められなかった。

何が悲しいのかは分からない。


絶対にばれたくない秘密を知られていたことへの憤りか、

それとも引かれてしまうことへの恐怖なのか、

目の前にある優しさにすがろうとする自分への苛立ちか。

とにかくいろんな感情が狂い乱れて涙となって流れていく。




泣きながら、ポツリポツリと話していた。

今までひた隠しにしてきた、誰にもバレてはいけないことを。


「普通」ではない、私の生活を。






「うっ…く……ごめ…先生ごめ…」


涙なんて見せたくないのに。

悲しいことなんて一つもないのに。





揺れる肩を、先生が引き寄せた。

慣れない他人の体温にビクリと反応した体を、優しい力で抱きとめる。

「ずっと話してくれんの待ってたんだぞ。」


大きな手が、頭を包み込んだ。

「絶対に俺が守ってやる。だから俺の前では我慢すんな。」


こんな優しさ、私は知らない。


人の体温ってこんなに心地いいものなんだって、産まれて初めて私は知った。

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