ナイト!




先日、不倫相手の若い女と、このホテルに来たのが運の尽きだ。


娘が知ったら、どう思うのだろうか。



「あと赤崎社長が最近手を出そうとしている事業がありますよね」

「そ、それは…」

「わたしの手で潰されたくないのであれば、今後一切、わたしに逆らうな」



あたしに逆らうことーー東雲に逆らうことで赤崎の家の末路がみえてくる。




「南雲さん、すいませんがこの縁談なかったことにさせていただけないでしょうか?」

「え、それは」

「命だけは守らせてもらいたいんです」



命だけは、そんな大げさなこと言わなくてもねぇ…保証はないけど。



「パパっ!」

「真衣、今日は帰るぞ」

「待ってくださいっ、パパっ!!」



慌てた彼女の声。

それでもなお、振り返ることのない父親。




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