さくらへようこそ
――あなたと一緒に生きて行こうと思ったの

自分の出生の話をした時、桜野はこう言った。

1人で生きることは難しい、だけど2人で生きて行くことは可能だと、桜野は信じて疑わなかった。

桜野は捨てられていた自分を拾い、自分の名前から1文字とって“美桜”と名づけた。

それから自分の娘のように大切に、『さくら』を切り盛りしながら美桜を育ててきた。

桜野が母親じゃないことを知った時、美桜はショックを受けて涙を流した。

桜野も涙を流していた。

――あなたを育てて後悔をしたことなんて、1度もなかった

泣いている美桜に、桜野は泣きながら言った。

――あなたと出会えたことに、私はとても感謝してる

桜野は泣きながら笑った。

――生まれてきてくれてありがとう、美桜
< 139 / 167 >

この作品をシェア

pagetop