さくらへようこそ

3-4.母の残像

名古屋駅を出ると、残暑の太陽の日差しと生ぬるい風が躰を包み込んだ。

さっきまで新幹線と言う密室にいたせいか、空気が心地よかった。

「やっぱ、都会だなあ」

隣にいる忍が呟いた。

「ホント、ビルも人もいっぱいだわ」

呟きに答えるように美桜が言った。

「まずはどうする?

ホテルには16時にチェックインするって言ったけど、それまで観光でもしてる?」

忍が聞いてきた。

「今池さんとの待ちあわせの時間は1時だったわよね?」

美桜はカバンからスマートフォンを出すと、時間の確認をした。

時間は後少しで11時になろうとしていた。
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