さくらへようこそ
「急に決まっちゃったことなので…」

輝も困ったと言うように呟いた。

「輝くんがいなくなるなんて、寂しいですね。

せっかく仲良くなれたのに…」

校長先生の呟きがその場に響いた。

「でもさ!」

その呟きを裂くように、工場長が声を張りあげた。

「せっかくの輝くんの旅立ちを、こんな空気で迎えるのはかわいそう過ぎるよ!」

工場長はそう言って、ビールが入ったグラスを持ちあげた。

レコード店はわかったと言うようにグラスを持ちあげると、
「どうせなら明るく、笑ってお別れした方がいいよな!」

その場にいる全員に話しかけた。
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