また、キミに逢えたなら。
私が頼んだのは雑誌1冊とジュースだけなんだけど。
「こんなに食べたら太っちゃうよ」
「莉乃は細いからな。しっかり食って太れ」
「やだよ」
体育会系のノリのお父さんはいつも、ご飯の時“もっと食べろ”“食べないと持たない”とか色々言う。
太るからヤダって言ってんのに、ちょっと暑苦しいところもある。
「退院したら美味いもん食いに連れてってやるから、楽しみにしとけよ」
そんな私の思いを知らずして、お父さんはガハハと大口を開けて笑っている。
根は優しいんだよね。
「回ってないお寿司がいい」
「おう、楽しみにしとけ」
嬉しそうに私を見て笑うお父さん。
暑苦しいけど憎めない。
あんまりキツく言うと落ち込んじゃうし。
可愛いところもあるんだよ。
「家族で旅行なんかはどうだ?レジャー雑誌入ってたろ?行きたい場所考えとけ」
「え?」
あ、そのためのレジャー誌だったんだ。
てっきり暇つぶしに買って来てくれたのかと思ってたのに。