また、キミに逢えたなら。
「莉乃!」
正面玄関の自動ドアをくぐると、すぐそばで名前を呼ばれて足を止めた。
9月後半に入ったけど、昼間はまだまだ暑くて汗が出る。
全速力で自転車を漕いだせいで息が上がっていた。
「はぁ……はぁ。シ、シロー君!」
呼吸を整えながら近付く。
「樹里ちゃんは……?」
「とにかく行こうか」
ドクドク
ドクドク
“樹里ちゃんが危険な状態”
電話で言われた言葉。
危険な状態……
危険な。
「樹里ちゃん……大丈夫なんだよね?」
シロー君の隣に並んで横顔を見上げる。
「…………」
シロー君は何も言わずに前を向いたまま、険しい顔をしていた。
「ね、ねぇ……」
「とにかく、会いに行こう」
濁すような言い方に低くて冷静な声。
大丈夫……だよね?