また、キミに逢えたなら。
苦笑しながらお母さんが言っているのがわかる。
「まぁ、アレだ。思春期ってやつだ」
そう言ってお父さんが豪快に笑った。
制服のスカートの上に置いた手をギュッと握り締める。
本当にそうならどれだけ良かったか……っ。
「思春期か。莉乃ももう高校生だもんな」
「あたしもあったな〜、思春期!」
平和で穏やかな団らんの時間。
温かくて幸せな時間なんだろうけど、それを感じることが出来ない。
それほどまでに心が荒んでしまっていた。
「莉乃?食べないの?」
お母さんの心配そうな声が降って来て、少しだけ顔を上げた。
「ごめん。食欲、ないから」
そう言って立ち上がった瞬間、スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。