また、キミに逢えたなら。


苦笑しながらお母さんが言っているのがわかる。



「まぁ、アレだ。思春期ってやつだ」



そう言ってお父さんが豪快に笑った。


制服のスカートの上に置いた手をギュッと握り締める。


本当にそうならどれだけ良かったか……っ。



「思春期か。莉乃ももう高校生だもんな」



「あたしもあったな〜、思春期!」



平和で穏やかな団らんの時間。



温かくて幸せな時間なんだろうけど、それを感じることが出来ない。


それほどまでに心が荒んでしまっていた。



「莉乃?食べないの?」



お母さんの心配そうな声が降って来て、少しだけ顔を上げた。



「ごめん。食欲、ないから」



そう言って立ち上がった瞬間、スカートのポケットに入れていたスマホが震えた。


< 341 / 418 >

この作品をシェア

pagetop