平安<麗らかな春のお昼に>
昨晩のことは水に流しましょう。



こうして見ると、こいつはただ
あどけない少女である。



透き通る瞳を隠すように
閉じられた瞼に、そっと触れる。



「…………ん」



彼女は微かに淡い声を漏らした。



「………可愛い声も出るんじゃないか」



自分の優しい手つきに
今更おかしく思いつつも笑いが漏れる。



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