平安<麗らかな春のお昼に>



いつもこのような愛らしい姿を
見せれば良いのに、そう思うが。



「……お前はお前で私の知らない苦労があるのであろうな」



文机の隣に置いていた掛け着を取り、
彼女の肩に掛ける。



「昨日ことは大目にみてやろう」



最後に少し、彼女の広がった艶やかな
黒髪をすくい取り、そっと口づける。



「………………」




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