強引上司のターゲット
淡い色。
濃い色。
ブルー系よりもグリーン系が多いのもあたし好み。


「課長ってこういうのお好きなんですか?!」


さっきまでの警戒心なんてぶっ飛んで行った。


「このグラスすっごくかわいい!」


オシャレな棚に飾られていたペアのカップに目を奪われていると、「あぁステンドグラスか」と言いながら課長が来る気配を感じて、独り言を言っていたんだと恥ずかしくなる。


「それ、いいだろ?グリーンのカップ」


「はい…」


とっても。
そう言って振り返ると、課長の手には濡れたタオルとマグカップ。


「こっちおいで」


おいで。

それ。好き。
甘やかされるような、全てを受けいてれもらえるような「おいで」があたしの胸をギュッと締め付けた。


「しっかしまぁ、よくあんなに泣けるよなぁ?!」


人がキュンとしてるのに!
突然思い出したかのようにブっと笑いながらマグカップをあたしに持たせる。
今の、無し!
取り消し!


「か、課長が!泣かせたんですょ…」


完全に八つ当たりしてる後ろめたさからどんどん声がちいさくなるあたしに、更に大きく笑った。

課長って笑うと結構幼くなって…かわいい、かも。
おっと!いけないいけない。
こんな顔しといてこの男、きっと根掘り葉掘り聞き出そうとしてるんだ。
あたしが泣いた理由を。


その笑顔には騙されないぞと、高鳴る心臓に気付かないふりをして身体に力を入れた。
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