強引上司のターゲット
おっといけない!
ボケっと考え事してたせいでいつの間にか時計の針が一時を指していた!

慌てて下に降りて行くと、ネイビーの車がハザードランプを点けて停まっている。


「すみません!お待たせしました!」


人を待たせるのは昔から苦手。
待たせたっていう罪悪感が湧くから。



そんなあたしを見て笑い出した課長は、車を降りて助手席のドアを開けてくれる。
あぁもぅ。やっぱり甘い。チャラい。
手慣れてる感が半端ないですよ。


呆れ混じりにクスッと笑いながらお礼を言って乗り込むと、これまたスマートに運転席に戻った課長を見て、ちょっと緊張した。


だってなんか、久しぶり。
ずっと出張だったから、久しぶりに顔みたかも…。


「すみませんって!なんで瑞花が謝るんだよ?」


ブハッと笑う課長の笑顔は昔と変わらない。


あれから、フラッシュバックのように幼少期のことを思い出したけど、課長のこういう笑顔は昔のままだった。


「俺が瑞花を誘ったんだ。」


………っ?!!
あたしをドキッとさせたのは面影の残る無垢な笑顔が一瞬で悪い顔になったからだ。


そんなあたしを知ってか知らずか、
「ハイ」もう出るよと前みたいにシートベルトを締めてくれた後、あたしの手をそっと握って微笑んだ。
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